これまでに何度かバイオリンに関する記事を書いてきましたが、
そういえば私自身が普段どんなふうにバイオリンと向き合っているのかは、まだ書いたことがなかったなと思いました。
そこで今回は、私がバイオリンを始めたきっかけから、
習い始めて5年目に突入した今、どれくらい成長できたのかを振り返ってみようと思います。
大人から始めたバイオリン、私のリアルな成長記録
バイオリンを始めたきっかけと、2度の挫折
実は、バイオリンを本当に始めたのは20代後半ではありません。
ブログと同じく、バイオリンにも何度か挑戦と挫折の経験があります。
最初の出会いは高校1年生の頃。
私の通っていた高校にはオーケストラ部があり、バイオリンパートに入って初めて楽器に触れました。
でも、部活にはわずか3か月ほどしか在籍できず、バイオリンもそこで終わりに。
部活の雰囲気に馴染めなかったことと、バイトを始めたことが理由でした。
でも今になって思います。
お金は大人になればいくらでも稼げたし、親に頼っても良かったのではないか。
「馴染めなかった」というのも、あとから振り返れば、結局高校1年はクラスで一人でいることを選んだし、先輩の中にも楽器に夢中で誰とも絡んでない人がいたな、と。
そして次は就職して間もない頃。
「何か新しいことを始めたい」と思ったとき、真っ先に思い浮かんだのがバイオリンでした。
初心者向けのセットを購入し、某音楽教室の大人レッスンに通い始めたんです。
ですが、仕事が交代制で体力的にきつかったのと、
教室の雰囲気や指導法が合わず、またしても1年ほどで挫折…。
それでも、20代後半になって転職したことで心と時間に少し余裕ができ、
「またやってみたいな」と自然に思える瞬間が訪れました。
今回は「続かなかったら最後にしよう」と腹を括って、前とは違う教室に通うことに。
結果的に、この教室の雰囲気や先生との相性がとても良く、
心から「楽しい」と思いながら通えるようになり――
気づけば、あれから5年目。
バイオリンは今、私のかけがえのない趣味、そして相棒になっています。
最初の頃のつまずきと当時の練習方法
今の教室の指導法や先生との相性がとても良く、楽しく続けられている私ですが、
最初からずっと順調だったわけではありません。
バイオリンって、実はとても不自然な姿勢で弾く楽器なんです。
さらに、普段あまり使わない筋力も必要になります。
もともと体力・筋力に自信がなかった私は、
“正しい姿勢を保つ” という基本動作がとにかく辛くて…。
今でこそ少しは慣れましたが、気を抜くとすぐ姿勢が崩れてしまいます。
そんな私に、先生は最初の頃、
バイオリンの指板にマスキングテープで目印を貼ってくれました。
疑似フレットのようなもので、押さえる位置の感覚を掴みやすくしてくれる工夫でした。
そのおかげで、「正しい姿勢を保ちつつ音を出す」ことに集中できる環境が整いました。
とはいえ、当時は腕はプルプル、指も思うように回らず、音もなかなかキレイに出ない…。
テープで位置が分かっていても、指がつりそうになる日もあって、
正直、練習に気分が乗らないことも多かったです。
だから、毎日欠かさず練習していたかと言うと…そんなことはありませんでした。
今の練習ルーティンと続けるための工夫
習い始めて3年目、私にとって大きなターニングポイントが訪れました。
それは、初めて発表会に参加したことです。
それまでは演奏に自信が持てず、初年度と2年目は参加を見送っていました。
でも、マスキングテープの目印から、数か所の小さな黒いシールに変わるほどにはバイオリンに慣れてきた頃、先生から「ステージに立つことでグンと成長することもあるよ」と背中を押され、思い切って挑戦することに。
そして本番の舞台。
ホールで響くバイオリンの音がいつもと全く違って、とにかく楽しくて――
この日を境に、私は「もっと上手くなりたい」と自然に思うようになりました。
それ以来、私は発表会をモチベーションに毎日練習するようになったんです。
では、そんな今の私の練習ルーティンをご紹介します。
まずは、演奏する曲をCDやYouTubeで何度も聴きます。
“この人の音、素敵だな” と思える演奏をひたすら聴いて、音のイメージを頭にインプット。
その後、楽譜を見ながらまずは弾けるようになるまで地道に反復練習。
ある程度弾けるようになったら、今度は実際の音源と一緒に演奏してみます。
すると、自分との違いに自然と気づくようになるので、
「ここ、もっと深く弾きたいな」「この音、柔らかく出せたら…」など、
自分なりに試行錯誤しながら “これだ” と思える音が出せるまで何度も練習します。
以前は目印のテープやシールがあって助けられていましたが、
今はそれもなくなり、耳と感覚を頼りに「音を聴く」ことを何より大切にしています。
このように、発表会という目標を持つことが私の継続の支えになっていて、
音源と自分を比較しながら工夫する練習方法が、今の私にとっての“楽しみ”になっています。
5年で弾けるようになった曲と気持ちの変化
そんな私ですが、ここまでいろいろと語っておきながら、
正直なところ“それほど弾けるようになった”というわけではありません。笑
これまでに取り組んだ曲は、こんな感じです。
- スズキメソード1巻~3巻
- スズキメソード4巻の無窮動まで
- パッヘルベルのカノン
- エルガーの愛のあいさつ
私のレッスンは月2回。
始めた当初の1〜2年はスローペースで、
今でも難易度が上がるにつれて、1曲仕上げるまでに半年以上かかることもあります。
だから正直、弾ける曲の数は多くありません。
でも、ある程度曲を仕上げられるようになってくると、
少しずつ見えてくるものもありました。
それは――
”楽譜をなぞって弾く” ことと ”曲を奏でる” ことはまったく別物だということ。
私はプロを目指しているわけではないので、
1曲を何週間で仕上げなきゃ、なんてノルマはありません。(発表会は別として)
だからこそ、ただ音をなぞるだけで終わるのではなく、
たったひとりでも、誰かの心に残る1曲を奏でられる人になりたい。
そう思うようになってからは、
以前よりも1曲1曲を大切に丁寧に、時間をかけて向き合うようになりました。
このように演奏技術だけでなく、
音楽との向き合い方そのものが変わったことが、
この5年間の中で得られた何よりの“成長”なのかもしれません。
大人から始めてもバイオリンはちゃんと楽しめる
弦楽器、特にバイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスのような音程を取るのが難しい楽器は、「大人になってから始めても上達しない」なんて言われることもよくあります。
もちろんどこを目指すかによって上達の基準は変わります。
でも、上達しないなんてことは決してありません。
たしかに、子どもの頃から続けている人に追いつくのは簡単なことではありません。
でも大人には「考えながら練習する力」があります。
その力を活かせば、ある程度のレベルまでしっかり弾けるようになると私は思っています。
バイオリンは、とても楽しい楽器です。
だからもし、「大人から始めても遅いのかな…」なんて迷っている人がいたら、
ぜひ一歩を踏み出してみてほしいです。
迷っているうちに時間が過ぎてしまうのは、あまりにももったいないから。
ここに一人、大人になってからバイオリンにハマった人間がいます。
ぜひ一緒に、楽しみながら続けていきましょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
他にもバイオリンに関する記事を書いていますので、もしよければそちらも覗いてみてくださいね。
▷ 上達のカギは「楽しさ」と「挑戦」|大人バイオリン成長のきっかけ
▷ バイオリンにフレットがないって不便じゃない?と思って調べてみた話
▷ バイオリンの「フラジオ」って不思議!感覚派が調べてみたら…?
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