未経験から事務職へ。回り道の先に見つけた“自分に合う仕事”

事務職のリアルとキャリア

「事務職を目指したいけれど、応募者が多くてなかなか内定がもらえない」
「未経験OKの一般事務はよく見かけるけど、給料が低い…」

事務職を目指している皆さんの中でそんな風に悩んだことがある人、きっと少なくないと思います。

実は私もその一人でした。

事務職のようなホワイトカラー職はとても人気があり、完全な未経験者が経験者と競うのは想像以上に難しいと感じたことを、今でも覚えています。

そんな私が、工場の作業員から今の営業事務の仕事にたどり着くまでにはいくつか遠回りもありました。

今回は、そんな私のキャリアの道のりをお話しします。
数年前の私と同じような悩みを抱えている人に、少しでもヒントや安心を届けられたら嬉しいです。

どんな経験も無駄じゃない。実は事務職って幅が広い。

工場勤務からITテスターへ転職

私は高校卒業後、工場の作業員として働き始めました。

商業高校出身だったため、事務職も視野にはあったのですが、当時はちょうど就職氷河期と重なっており、倍率の高い事務職は現実的に難しいと判断したからです。

最初の1〜2年は、新人として仕事を覚えることで精一杯。
けれど2年目のある日、ふと考えてしまいました。

「このまま数年ここで働き続けて、何かスキルが身につくだろうか?」

そう考えた私は、将来的にどんな働き方を目指せばいいのか自分なりに調べ始めました。
そしてたどり着いたのが「これからの時代、パソコンスキルを磨くことが将来職を失わない人になれるはず」という考え方です。

幸い、私は高校時代にExcelやWordなどの基本操作は学んでいたので、やる気があったことと年齢も相まって、未経験OKの求人へ応募したところ内定をいくつかもらえました。

ただ、いくつか内定はいただけたものの、どれも一般事務で給与水準はかなり低め。
スキルアップや年収アップを目指す転職としては、少し物足りなさを感じました。

そんな時、ハローワークの職員さんから職業訓練制度についてお話をいただきました。
無料で受講できるということであまり期待はしていなかったのですが、自分が想像していたよりも多彩なコースがあり驚いたのを覚えています。

私はその中からWebデザインコースを選び、半年間通うことにしました。

期間は短く、Office系の授業も含まれていたため専門性は浅めでしたが、それでも「パソコンスキルを活かす道」が少しだけ開けたような気がしました。

そして職業訓練の何よりのメリットは、就職サポートがとても手厚いことです。
資格取得も支援され、実際に私はそこで得た資格を活かして複数の企業から内定をいただくことができました。

その中から私が選んだのは、Webサービスやスマホアプリのテスト業務を行う会社です。

Webデザインの勉強の中で、コーディングの作業が楽しかったという理由もあり「まずは業界を知るところから」と考えて、ITテスターとしての道を選びました。

VBAを学び通販サイト運営へ

ITテスターとして働き始めた私が、社会人生活で今でも一番尊敬している上司と出会ったのはこの会社でのことでした。

テスターとしての業務に少しずつ慣れてきた頃、私は伸び悩みを感じ始めていました。

するとその上司が、「テスターとしての視点を深めるために、アプリの裏側の仕組みも学んでみよう」と声をかけてくれたのです。

仕事が終わった後の時間を割いて、Excel VBAの基本を教えてくださるようになりました。
「今の業務で実際に使えるし、バックエンドの流れも少し理解できるようになるよ」と。

確かに、JavaやPHPのような本格的なプログラミング言語ではありませんでしたが、VBAでも十分に「アプリ開発の流れ」や「エラーの起こり方」などの基礎を知ることができました。

それからしばらく、学びながら働く充実した日々を送っていましたが、やがてIT業界の厳しさに直面することになります。

残業がとにかく多く、定時で帰れたのは入社後の最初の1〜2ヶ月だけ。
その後は、毎日21時以降の退社が当たり前になり、大型案件が入ると明け方までの勤務が数週間続くこともありました。

ある日、夜中のオフィスで理由もなく涙があふれた瞬間に、私は直感しました。

「このままでは、スキルを身につける前に身体が壊れてしまう」

そこで、次は学んだVBAや業務理解力を活かせる仕事を探そうと転職を決意しました。

そして次にハローワークの職員さんに紹介されたのが、とある会社のネットショップ運営・管理の求人でした。

業界は異なりましたが、パソコンスキルを活かせそうだと思い、すぐに応募。
無事に内定をもらい、入社しました。

しかし実際に求められた業務は、想像していたネットショップの技術的運用ではなく「どう商品を売るかを考える」企画営業的な役割だったのです。

取り扱っている商品は工具で、正直私はほとんど興味のない分野の商品。

もちろん、思いついた案は出してみたり、他にもいろいろと試しましたが一向に何もできず…
肝心のネットショップの管理は、ひたすらカタログの商品を登録する単純作業の繰り返し。

工場勤務以上にやりがいのなさを感じてしまい、結局、試用期間の終了とともに退職しました。

このとき私は、あることを身をもって知りました。

それは、「どんな仕事も続ければいつか身になる」とは限らない。
自分に合わない仕事も確かに存在するのだということを。

再度事務職を目指し測量事務へ

転職を何度か経験した私は、なかなか定着しない自分に焦りを感じ、「私がやりたいことは何なのか」をもう一度考え直すことにしました。

IT業界やネットショップの運営には合わない部分もあり上手くいきませんでしたが、せっかく尊敬する元上司から教わったVBAスキルは活かしたいという気持ちは残っています。

そこで視点を変えて、こう考えてみたんです。

「Excelを日常的に使う仕事って、実はどんな職種だろう?」

そこで思い至ったのが、最初は年収面で断念した「事務職」でした。

ただ、事務職としてやはり私は実務経験がない未経験者です。
そのため、いきなり一般事務や営業事務等の一般的によく聞く事務職を目指すのではなく、まずは事務作業が含まれている職種を狙うことにしました。

そんなときに出会ったのが「測量事務」の求人です。

業界未経験OK、必要スキルはExcelとWord。
応募してみたところ、即採用となりました。
(おそらく当時の業界が人手不足だったことも要因だと思います)

実はこのとき、社会全体では自然災害が続いていた時期で、測量・建設業界はその影響で非常に活発でした。
不謹慎ながら「景気が良い+人手不足+人気が低い」というタイミングが重なった業界だったため、未経験者でも採用されやすい穴場の職種だったんです。

未経験からの転職には、こうした「景気+人手不足+参入障壁の低さ」を見極めて業界を選ぶという方法もあります。

測量事務としての仕事は多岐に渡り、CADソフトの基本操作や図面管理、役所への資料作成などを経験できました。

残業や休日出勤も少なく、給与面も安定していて、働きやすさは高かったです。

でも――
数年が経ち、私はあることを感じるようになります。

「このままここにいても、これ以上のスキルアップは難しいのでは?」

というのも、会社の仕事量が徐々に減ってきていたんです。
上層部は過去の成功体験に満足してしまっていて、新しい挑戦をしようという空気もなく、徐々に停滞を感じるようになりました。

現時点の職場環境が良くても、そこで自分の成長が止まってしまっては意味がない。
今いる会社が自分が定年するまで続いているとは限りませんからね…。

私はまた転職を決意しました。

そして今回は、これまでと転職のアプローチを変えることにしました。

今まではハローワークを頼ってきましたが、今回は専属の担当がついてくれる転職エージェントに相談してみることにしたんです。

「自分では見えていなかった求人や、自分の強みに気づけるかもしれない」
そう思って勇気を出して登録し、相談してみたところ……

ついに、営業事務として採用されることが決まったのです。

忙しいけど性に合ってる営業事務

営業事務として働き始めてからというもの、数か月前までの “停滞した毎日” がまるで嘘のように、今では毎日が目まぐるしく過ぎていきます。

もちろん、毎日忙しいですし、会社なので理不尽なこともたくさんあります。
それでも今の職場には、改善提案をすればチャレンジできる空気があります。

忙しさゆえに、自分から出した提案に着手できないことも多々ありますが、

  • この業務をもっとスムーズにするには?
  • こうしたら、他の人も助かるのでは?

そんなふうに考えて提案したり、必要な調整を考えたりする中で、提案力やタスク管理、社内調整力など学ぶことがたくさんあると気づきました。

そしていつの間にか、この仕事が楽しいと感じている自分がいました。

営業事務の仕事内容については別記事で詳しく紹介していますので、気になる方はそちらもぜひご覧ください。

今やっている業務に専門性があるかと言われれば、おそらくありません。

でも、私がやりたかったVBAによる業務効率化はできていますし、提案力・調整力といった社会人に必要な基礎スキルも確実に磨けています。

「誰かのために、裏側から仕組みを整える」

そんな働き方に私はやりがいを感じます。

色んな仕事を経験してみて分かったのは――
私は事務職として働くのが、一番自分に合っているということ。

でもそれは、雑用を一手に引き受ける立場としての事務職ではありません。

「会社がよりよく回るにはどうすればいいか?」
「全体を見渡して、少し先を考えるサポートができる立場でありたい」

そう思いながら日々働いています。

事務職って実は幅が広い

私は最終的に営業事務として働いていますが、事務職と一言でいってもその中には驚くほど多くの職種があります。

一般事務、総務事務、営業事務、経理事務、医療事務…
よく聞く名前だけでもこれだけありますし、会社によっては「アシスタント」や「サポートスタッフ」といった名称で事務的な役割を担うケースもあります。

事務職の本質とは「会社がうまく回るように、裏方から支えること」だと私は思っています。

だからこそ、「いわゆる事務職」の経験だけが全てではなく、少し視点を変えれば、事務的な業務を担ってきた経験も十分にアピール材料になります。

私自身も、事務職として働く前にちょっとだけ別の仕事をしていた経験がありましたが、その中で得た「丁寧な書類対応」や「社内調整のやり取り」などは、今の事務職の仕事でも確実に活かされています。

だからもし、「事務職に就きたいけれど、なかなか内定がもらえない」と悩んでいる方がいたら、ちょっとだけ視野を広げてみるのも一つの手かもしれません。

とはいえ「視野を広げるって言っても、どうやって?」なんて思う方もいますよね。
そんな方のために、事務職専門の転職エージェントについて別の記事で紹介しています。

「ひとりで探すの難しいな…」と思った方は、気軽に覗いてみてくださいね。

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